「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは隔週木曜に掲載されます。

2025年7月31日

インクルーシブ教育とは何ですか?

▼Q インクルーシブ教育とは何ですか?

▼A 障害のある子どもも障害のない子どもも、共に教育を受けられる制度です。障害者の権利に関する条約は「障害者を包容するあらゆる段階の教育制度および生涯学習を確保する」とし、インクルーシブ教育を受ける権利を保障しています。

例えば、イタリアでは障害がある子どもだけを対象とした学校は廃止され、幼稚園から大学まで通常の学校に就学しています。日本では文科省が「インクルーシブ教育システム」を推進していますが、子どもが学ぶ場を「通常学級」「特別支援学級」「特別支援学校」などに分けており、条約が求めるインクルーシブ教育といえるのかは疑問です。

この点に関し、国連障害者権利委員会は2022年、日本で障害のある児童への分離された特別教育が永続していることや、通常の学校に特別支援学級があることに懸念を表明。日本に対し、質の高いインクルーシブ教育に関する国家の行動計画を採択することなどを要請しています。

確かに、通常学級で一緒に学ぶことが難しい子どもはいます。このような子どもを特別支援学級や特別支援学校で教育することを「多様な学びの場」として肯定してよいのでしょうか。むしろ、通常学級が変わるべきではないでしょうか。

県弁護士会は8月10日にシンポジウム「ともに育ち、ともに学び、ともに生きる~インクルーシブ教育について考える~」を開催します。参加無料、オンライン参加可。詳しくは県弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 7月31日分掲載(梁智元)

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