「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2024年6月20日

精神的DVも保護対象に

▼Q 配偶者からの暴言がひどくて別居した友人がいます。別居後も「写真をインターネットにアップする」「嫌なら土下座して謝罪しろ」などのメッセージを交流サイト(SNS)で送ってくるそうです。友人は精神的に追い込まれています。やめさせる方法はないでしょうか。

▼A 裁判所へ保護命令の申し立てを行うことが考えられます。配偶者や生活の本拠を共にする交際相手からの暴力を防止するために、裁判所が加害者に対し、被害者等に対する電話や接近の禁止等をする命令です。

今年4月1日、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(DV防止法)を改正した法律が施行されました。改正前は、身体的暴力、生命・身体への脅迫により、生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときのみ保護命令が発令されていました。

改正後は、自由・名誉・財産への脅迫により心身に重大な危害を受け、さらにその危害を受けるおそれが大きいときも、保護命令が発令されることとなりました。違反した場合の罰則も強化されました。

申し立てには、配偶者からの暴力・暴言の証拠が必要です。例えば、録音やショートメッセージサービス(SMS)などのやりとり、病院の診断書等が証拠になります。

福岡県弁護士会では6月24~28日、「女性の権利ホットライン」という電話での無料法律相談をしています。配偶者からの暴力にお悩みの方の相談も受け付けています。

西日本新聞 6月20日分掲載(井上瞳)

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