「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2022年10月19日

300万円で数珠 購入取り消したい

▼Q 霊能者という人から「願い事がかなう」と言われ、300万円で数珠を購入しましたが、後悔しています。取り消したいです。

▼A いわゆる「霊感商法」ですね。最近もニュースになっていますが、昔からある商法で、被害が後を絶ちません。

このような被害を防ぐため2018年に消費者契約法が改正され、霊感商法を定義しています(4条3項6号)。難しい言い回しなのですが、要するに、買わないと先祖の霊やたたりがあるなどと述べて相手の不安をあおり、数珠やつぼ、掛け軸、水晶などを売りつける行為のことです。

そして、同法はこのような行為に惑わされてした契約については、取り消すことができると規定しています。

ご相談の事例については、願い事がかなうという「実証困難な能力」で不安をおあり、その不安を解消もしくは回避できると伝えて契約したのであれば、契約そのものを取り消すことできる可能性が高いでしょう。

その他の方法としては、クーリングオフ制度があります。同制度には、契約書面を受け取った日から8日以内に手続きをする必要があります。そもそも同制度が適用されない場合もあるので注意が必要です。

コロナ禍などで高まる不安に巧みに付け込む霊感商法。被害に遭ったら1人で悩まず、誰かに相談してください。きっと道が開けます。霊感商法や宗教被害に特有の法律問題については、専門家である弁護士にご連絡ください。

西日本新聞 10月19日分掲載(内田鴻二)

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