「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2024年5月16日

18歳成人、刑事手続きは?

▼Q 18歳の息子が警察に逮捕されました。刑事手続きでも成人扱いになるのでしょうか。

▼A 2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられました。しかし、刑事手続きでは、18・19歳にも引き続き少年法が適用されています。少年はまだ若く成長途上で、大きな更生改善が期待できます。厳罰より更生を重視するのが少年法です。成人年齢が引き下げられたとしても、18・19歳には少年法の考え方が適していると考えられました。

他方で、18・19歳は成人として社会的に責任ある立場でもあります。そこで「特定少年」として18歳未満とは異なる扱いをされます。特定少年の場合、殺人や強盗などの重大事件については少年手続きではなく、成人と同じ刑事裁判手続きを受けるのが原則です。これは、少年を家裁に送致した検察官にまた送致されることから「逆送事件」と呼ばれます。

ただし、実際に逆送される事件は全体の半数程度です。残りの事件には少年手続きが適用されています。どちらになるかは、その事件で、処罰と更生のどちらを重視するかによります。

ご相談のケースでは、まず事件の内容と罪名を確認しましょう。特に重大事件の場合は、逆送ではなく少年手続きをとるよう裁判所に働きかける必要があります。釈放に向けた活動、被害者との交渉などもあります。各地の弁護士会が運営している「当番弁護士」に電話することをお勧めします。福岡県弁護士会では、県内4カ所で受け付けています。詳しくはホームページをご覧ください。

西日本新聞 5月16日分掲載(澤田優花)

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