「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年8月5日

子どものSOSを受け止めて

▼Q 新型コロナウイルスのため休校になっていた学校が6月から再開したのですが、子どもが最近、登校を嫌がるようになりました。何も話してくれず、心配です。

▼A いじめ、会員制交流サイト(SNS)上のトラブル、金銭問題といったことから勉強、校則への不満まで、子どもたちは、大人の知らないところでさまざまな悩みを抱えがちです。登校を嫌がるようになったのは、周囲の大人への無言のサインかもしれません。

特に今年は、コロナによって日常の遊びや友達との触れ合いが制限されたり、夏休みが短縮されたりして、子どもが我慢を強いられています。経済不振などで保護者の就労状態が変わり、子どもへ思わぬしわ寄せが生じていることも考えられます。

日本が批准する国連の「子どもの権利条約」は、子どもは単なる「保護の対象」ではなく、「権利の主体」であると位置付けています。子どもには生きる権利、育つ権利、守られる権利があるとうたい、自由に意見を表明し活動する権利も規定しています。

子どもがこうした権利を実現するためには、大人の手助けが不可欠です。福岡県弁護士会は、子どもの悩みや率直な意見を聞くため、毎週土曜日の午後0時半~3時半に、無料相談電話「子どもの人権110番」=092(752)1331=を開設しています。

子どもだけでなく、子どものことで悩んでいる大人からの相談も待っています。大人として、親として、子どものサインを見落とさないようにしましょう。

西日本新聞 8月5日分掲載(安河内亮)

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