「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2018年11月21日

同じ仕事なのに待遇差が

▼Q 契約社員として勤務しています。全く同じ仕事をしているのに、正社員の同僚より私の待遇が低いことが分かりました。契約社員だから仕方ないのでしょうか。

▼A 「同一労働同一賃金」という考え方があります。労働契約法20条は、職務内容が同じ正社員と、契約社員など有期雇用の社員に待遇差がある場合、その差に不合理な点があってはならないと定めています。

例えば、全国に支店がある企業で、正社員だけに住宅手当が支給されているとしましょう。正社員は転勤の可能性があり、住宅費がかさみます。手当はそれを補助する目的で支給されています。そう考えると、転勤のない契約社員に手当が支給されないことは一定の合理性があります。

一方で、契約社員に皆勤手当が支給されていない場合はどうでしょう。一般的に皆勤手当は人員確保のため、社員の皆勤を奨励する目的で支給されます。皆勤したにもかかわらず、正社員にしか支給されないのは、契約社員の努力が評価されておらず、納得できるものではありません。不合理だと判断される可能性があります。

このように、「契約社員だから」という理由で正社員との間に待遇差を設けることは、差の内容によっては違法になる可能性があります。あなたも諦めず、会社と話し合うことをお勧めします。

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西日本新聞 11月21日分掲載(山口真彦)

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