「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2021年7月21日

「後払い現金化」専門家に相談を

▼Q ネットで「後払い現金化」の広告を見ました。すぐに現金を受け取れるとのことですが、利用しても大丈夫でしょうか。

▼A 利用は控えましょう。先日、「後払い(ツケ払い)現金化」の相談を受けました。仕組みはこうです。(1)外国為替証拠金取引(FX)のためのソフトウエアを6万円で購入(2)ソフトウエアのカスタマーレビュー(口コミ)を書き込むと、すぐ謝礼4万円をもらえる(3)代金6万円は1カ月後に支払う―。

ただ、購入したソフトウエアに価値はなく、口コミの書き込みも形だけ。実際は4万円を借り、1カ月後に2万円の利息を付けて返済するのと同じです。これだと年利換算で約600%の超高金利となります。形式が貸金であれば貸金業法や出資法に違反します。貸金ではないと言うため、ソフトウエア購入やレビュー書き込みといった形をとっていると考えられます。

よく似た形態として、商品購入後すぐに買い取ってもらい、手数料を引かれた額が口座に振り込まれるというケースや、単にキャッシュバック名目で現金をもらうといったケースがあります。今のところ明確な規制はなく、ネット上には「後払い現金化」の広告がたくさんあるようです。

最初に受け取る現金に目を奪われて何度も利用すると、あっという間に支払いが膨れ上がり、多重債務になってしまいます。このような危険性をよく理解してください。既に利用している方は、弁護士など専門家に相談してください。債務整理のノウハウを基にアドバイスします。

西日本新聞 7月21日分掲載(三宅賢和)

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