「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2019年12月4日

年金だけでは生活が苦しい

▼Q 70代の夫婦2人暮らしです。年金が2人合わせて毎月約12万円ありますが、家賃4万円と医療費などが2万円ほどかかります。他に収入はなく、貯金も底をつき、生活費のための借金が約50万円に膨らんでしまいました。このままでは病院にも行けなくなります。年金を受けていても生活保護を利用できるのでしょうか。

▼A 年金収入があっても、その金額が国の定める「最低生活費」を下回る場合は、生活保護を利用できます。最低生活費はお住まいの地域によって違いがありますが、70代夫婦2人の世帯だと、生活費分と家賃分の合計はおおむね12万~14万円になります。これに医療費分なども考慮して、最低生活費が決まります。あなたの世帯は生活保護を利用できます。

年金は2カ月ごとに支給されます。あなたの場合、年金支給月には年金だけを受け取り、足りない分が翌月の保護費として支給されることになります。医療費は、生活保護の医療扶助が認められれば、自己負担はありません。

また借金については、自己破産手続きなどを検討することになります。その際の弁護士費用は、収入や資産が一定額を下回る場合は、日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助制度による援助が受けられます。

日本弁護士連合会は今月17日午前10時~午後10時に「全国一斉生活保護ホットライン」=フリーダイヤル(0120)158794=を開設します。分からないこと、不安なことがありましたら、ぜひ相談してください。

西日本新聞 12月4日分掲載(星野圭)

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