「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2012年11月3日

家賃滞納、催告して契約解除

▼Q マンションを貸してます。ところが最近、賃借人が賃料を支払わず、督促の電話にも出ません。退去してほしいのですが・・・。

▼A 退去させるにはまず、賃貸借契約を解除する必要があります。賃料不払いを理由として契約を解除できるのは、滞納した結果、貸し手と借り手の間の「信頼関係が破壊された場合」です。さまざまな事情を考慮して判断するのですが、判例では3カ月分以上の滞納で解除が認められるケースが多いようです。

解除する際は、前もって賃料支払いの「催告」をするのが通常です。ただし「解除」自体の意思表示をする場合も含めて、言った言わないのトラブルを防止するためにも、通知の方法には工夫が必要です。

解除したあとに、任意に明け渡してくれれば問題はありません。どうしても退去してくれないときは、民事訴訟、強制執行という所定の手続きを経る必要があります。

裁判所の手続きを利用すると時間や費用がかかります。しかし、自力で追い出したり、勝手に家財道具を持ち出したりすることは、違法となります。逆に損害賠償を請求されたり、住居侵入や窃盗などで刑事責任を追及されたりする可能性もあります。気を付けましょう。

賃料不払いのケースでは、未払い賃料や原状回復費用を請求しようと思っても、借り手に資力がなく、結局は支払ってもらえないままになることも少なくありません。貸した側としては、不払いが生じたときは放置せず、なるべく早く対処することが大切です。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。

西日本新聞 11月3日分掲載(埋田昇平)

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