「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年1月29日

離婚を考えているが・・・

▼Q 離婚を考えています。養育費や婚姻費用の算定表が改訂されたと聞きました。なぜ変わったのですか。今後どうなるのですか。

▼A 養育費は子どもが社会人になるまでに必要な費用です。婚姻費用は夫婦や子どもの生活に必要な費用のことで、主に離婚を前提に別居している夫婦間で問題になります。いずれも2人が収入に応じ協力して分担すべきものです。

しかし金額をいくらにするか、もめることがよくあります。なるべくもめずに速やかに決められるようにと、裁判官有志が月額の基準を定めたのが算定表です。2人の収入や子どもの年齢や数から額をはじき出したもので、家裁での調停や審判、裁判で用いられています。昨年12月23日に改定されたのは、前の算定表ができてから16年たち、今の税制や物価を反映していないとの指摘があったためです。収入によっては、前の表より額が多くなるケースもあります。

あなたが、これから養育費や婚姻費用を決めようとして、お互いの希望が折り合わず調停などになったときは、新算定表を用いて額が決まる場合が多いでしょう。もし12月23日より前に額を決めたのであれば、算定表が改定されたことだけを理由に増額を求めるのは難しいとされています。「子どもが私立に進学して経済的に厳しくなった」などと、前と事情が異なることを、話し合いや調停の場で主張する必要があります。

特に子どもがいる場合、養育費や婚姻費用は健やかな成長に欠かせません。それをよく理解し決めてください。悩みがあるときは各弁護士会の相談センターにご相談ください。 

西日本新聞 1月29日分掲載(國田修平)

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