「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2021年5月19日

夫が逮捕後に釈放、今後どうなる?

▼Q 夫が万引をしてしまいました。逮捕されましたが、2日で釈放されました。これからどうなるのでしょうか。

▼A 逮捕後の勾留はされずに釈放された状況のようですね。今後、捜査の上で処分が決まります。それまでは、釈放されていても「被疑者」の立場で、在宅事件として捜査が続きます。

捜査終了後の処分には、不起訴、略式起訴、正式起訴(公判請求)があります。
不起訴になれば前科になりません。略式起訴の場合は罰金刑となり、前科になります。しかし、裁判所に出頭する必要はありません。これらの場合は不起訴処分や罰金の納付によって刑事手続きが終了します。一方、正式起訴の場合は、裁判所で裁判が開かれ、公開の法廷で裁判を受けなくてはなりません。

いずれにせよ、今後も捜査は続き、改めて取り調べを受けると思われます。呼び出しに応じないと、逃亡の恐れがあるとして勾留される可能性もあります。本件では、出頭して言い分をきちんと述べた方が良いでしょう。

処分にあたっては、一般に、被害者への謝罪や弁償、示談などが重視されます。
この点、刑事弁護人は、裁判上の活動だけでなく、示談などの裁判外の活動も行います。示談などをご自分で進めるのが難しい場合には、弁護士に依頼されてはどうでしょうか。逮捕時に当番弁護士と会っていれば、その弁護士に相談するのが良いでしょう。福岡県弁護士会=(0570)783552=でも相談をお受けしています。

西日本新聞 5月19日分掲載(永松裕幹)

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