「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2016年8月31日

被災者はローン減額、免除も

▼Q 地震で勤務先の工場が被災し、失職しました。再就職できましたが、震災前と比べると給料が大幅に下がってしまいました。幸い無事だった自宅のローンを、これまで通り返済できそうにありません。

▼A 地震によりローンの支払いができなくなった場合でも、ローンの支払い義務は消滅しません。しかし、4月の熊本地震のように「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」が適用される災害の場合、債務の減額、免除が認められることがあります。

生活資金として、被災者生活支援金や弔慰金などのほか、預貯金などを500万円まで残した状態で債務を整理できます。ご相談のように、被害がない自宅を手元に残したい場合、自宅を手放さずにローン返済金額を減らすことも可能です。

破産の場合と異なり、信用情報(ブラックリスト)に事故情報として登録されず、無料で弁護士など「登録支援専門家」による手続き支援が受けられるメリットもあります。まずは最も多額な借入金がある金融機関に、ガイドラインの利用希望を申し出ましょう。

ガイドラインの適用がない災害でも、住宅資金貸し付けに関する特別規定を利用し、個人再生手続きに基づき自宅を手元に残した状態でローン返済金額を減額できる場合があります。

災害時は、弁護士会の無料法律相談など被災者支援活動が行われます。まずは利用できる制度がないかなど、相談してみてください。

西日本新聞 8月31日分掲載(奈倉梨莉子)

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