「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2012年4月12日

訪問業者の「押し買い」注意

訪問業者による貴金属などの買い取りに関するトラブル、いわゆる「押し買い」が高齢者を中心に、特に東日本大震災後に多発しています。「押し売り」の変型で、貴金属価格の高騰や高齢者の1人暮らし世帯の増加が背景にあるようです。

手口としては、業者らしき者が自宅を訪ね「不要なネックレスを譲ってほしい」「手持ちの指輪を鑑定して現金で買い取ります」などと強引に勧誘し、冷静な判断をさせる間もなく買い取ってしまうのです。認知症の人の家に上がり込み、勝手にたんすをあさるケースも・・・。

震災に乗じて良心につけ込む悪質な手口も目立ちます。震災後に不足しているという理由で「ペースメーカーや注射針に使うのに金属を探している」「エックス線の機材を作るのに金や銀が必要。不要なアクセサリーを売ってほしい」など。偽の古物商の許可証を見せて安心感を与える手口もあります。

こうした被害は消費者が「売り主」となるため、特定商取引法のクーリングオフなどの対抗手段を取ることが困難です。消費者庁はようやく法改正に動き始めましたが、しばらくは自衛策しかなさそうです。

対策としては(1)毅然(きぜん)として断る(2)1人で対応しない(3)相手を確認する(業者名、住所、電話番号、古物商許可証などの提示を求める)(4)買い取りの条件などを書面でもらう-。くれぐれもご注意を。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。

西日本新聞 4月12日分掲載(緒方剛)

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