「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2017年5月24日

マンション経営、相続税対策になる?

▼Q 所有している土地に、相続税対策としてマンションを建てませんかという勧誘を業者から受けています。税金対策になり家賃も入るなら、いい話じゃないかと思っているのですが、問題はあるでしょうか。

▼A 相続時の土地の評価を下げる節税対策として、高齢者の方が賃貸マンションを建築・経営することがあります。ただ多くの場合は住宅ローンなどで資金を借り入れるので、事業が成り立たなければ資産が減少する恐れもあります。この場合、相続税が減ったとしても、相続人は住宅ローンとともに赤字事業を引き継ぐことになります。事業の規模が大きい場合はオーナーが事業者扱いされ、消費者保護に関する法制度が適用されなくなる可能性もあります。

マンション経営には住宅ローンの支払いのほか、固定資産税、管理会社への手数料、電気代、設備メンテナンス費、修繕費などの各種経費がかかります。マンションを一括で借り上げ、賃料を保証する会社もありますが、賃料保証は一定期間後に見直しをされることもあります。

こうした点を慎重に検討するため、契約を考えている場合は事前に専門家への相談をお勧めします。福岡県弁護士会では、弁護士事務所に赴くのが難しい高齢者や障がい者のために、電話相談や出張相談の制度を設けています。高齢者・障がい者総合支援センター(あいゆう)で受け付けています。電話=092(724)7709(月-金、午前10時~午後4時)。

西日本新聞 5月24日分掲載(末安大地)

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