「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2021年3月31日

鍵のトラブルで高額な支払い

▼Q 自宅の鍵を紛失しました。ネットで「解錠1回5千円~」という業者を見つけ、どれくらいかかるのだろうと電話をすると、「料金は現場で形状を見てから」とすぐにやって来ました。形状を確認した業者は「複雑なので料金は10万円」。焦りに加え、断りにくい雰囲気もあり、解錠してもらいましたが、冷静に考えるとやはり高すぎます。返金は無理でしょうか。

▼A 鍵の紛失や水漏れなどに対応する出張サービスで、高額な代金を求められるトラブルが相次いでいます。急ぐあまり、内容を十分に検討せず契約してしまうのが主な原因。焦る気持ちはよく分かりますが、そんな時こそ、ひと呼吸置き、落ち着くことが大切です。

見積もりをお願いする時は、見積料やキャンセル料が必要かを尋ねましょう。
見積もりが出たら作業内容と料金を詳しく確認。その上で、契約内容に納得いかなければ断りましょう。現場で示された見積もりを承諾して、初めて契約が成立します。逆に承諾するまでは契約は成立していないので、作業を断るのは自由です。

すでに代金を払っていても、返金請求できるケースはあります。今回の契約は、あなたの自宅で成立しています。これは訪問販売に当たるため、電話では見積もりや作業内容を問い合わせたにすぎないのであれば、クーリングオフできる可能性があります。訪問販売の場合、クーリングオフ期間は、契約書を受け取った日から8日以内ですが、契約書に不備などがあればこの期間は進みません。身近な問題も法律的なトラブルの原因になります。消費生活センターや弁護士会が相談に乗っています。

西日本新聞 3月31日分掲載(金丸有希)

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