「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2019年10月9日

客が理不尽な要求をしてくる

▼Q 経営する飲食店で、むちゃな要求をしてくる客がいて、困っています。

▼A 自己中心的で理不尽な要求をしてくる消費者や、そうした行為は、「クレーマー」「カスタマーハラスメント」と呼ばれています。どんなに丁寧に接客していても、完全にミスをなくすことはできません。ささいなミスに付け込んでくる消費者に対しては、ミスについては誠実に謝罪し、非常識な不当要求には毅然{きぜん}と対応する必要があります。

謝罪してしまうと、全ての要求を受け入れなければならなくなるわけではありません。法的な責任には一定の限度があります。その内容は社会常識に基づいており、ほとんどの場合、謝罪したからといって、理不尽な要求に応じる責任はありません。

理不尽な要求を受けた時は、録音をしたり、その場で回答するのを控えたりして、店全体で対応する必要があります。相手はたいていの場合、目の前の店員を言い負かせば要求が通ると考えているので、店全体や会社全体で時間をかけて対応することで、相手の勢いをそぎましょう。

背後に暴力団など反社会的勢力がいるかのように、ほのめかしてくる場合もあると思います。暴力団の活動が潜在化している近頃は、相手が単なるクレーマーなのか、暴力団関係者なのか分からなくて当然です。

県警や暴力追放運動推進センターは、暴力団か否かにかかわらず、暴力や威力、詐欺などに関する相談を受け付けています。

西日本新聞 10月9日分掲載(小川威亜)

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