「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2023年4月26日

いじめに遭っていないか心配

▼Q 中学生の息子に最近元気がありません。学校でいじめに遭っていないか心配ですが、息子に聞いても話してくれません。親としてどうしたら良いでしょうか。

▼A 子どもが出すSOSに早めに気付くことは、親だからできることです。あなたが息子さんに元気がないことに気付けたのはとても良いことだと思います。

しかし、息子さん自身が話してくれない段階で先走りするのはやめましょう。子どもを差し置いて学校に連絡したことで、子どもが望まない方向に進んだり、子どもとの関係が悪化したりすることもあります。

国連が採択している子どもの権利条約は、子どもに適切な指導をする親の責任(第5条)と、子ども自身の意見の尊重(第12条)の双方に触れています。要はそのバランスです。

まず親が意識したいのは、子どもを見つめ続けること。「いつでもなんでも話してくれていい。私はあなたの味方だ」という態度を明確に示し続け、辛抱強く待ってください。そうすれば、もし問題がさらに大きくなったときでも、いち早く異変に気付くことができます。無理に聞き出そうとすると、話すことを止め、かえって逆効果です。

もしいじめがあるとしたら、親の力だけで全てを解決することは困難です。学校と協力して対応しましょう。ここでも親の役割は、子どもを見つめる力、そして忍耐力です。

福岡県弁護士会は無料の電話相談「子どもの人権110番」を実施しています。5月からはLINEによる相談も始めます。くわしくは同弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 4月26日分掲載(森俊輔)

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