「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年9月9日

事故を起こすと、運転免許どうなる

▼Q 交通事故で、相手が全治3カ月のけがを負いました。私は相手の無理な運転が事故原因だと思っていますが、県公安委員会から、免許取り消し処分に関する「意見の聴取通知書」が届きました。どうすればいいでしょうか。

▼A 交通事故を起こすと、罰金や禁錮などの「刑事処分」のほかに、運転免許の取り消しや停止といった「行政処分」を受けることがあります。ご質問の通知は行政処分に関するものです。

意見の聴取とは、運転免許の停止(90日以上)や取り消し処分の前に、当事者に意見を述べる機会を与えることで、処分が公正・適切に行われるのを保障する制度です。あなたは今回の事故では相手の過失が大きいとみており、免許の取り消し処分になれば、それは適切ではないと受け止めているでしょう。

この場合、まず意見聴取に出席し、自身に過失がないことを主張しましょう。補佐人として弁護士の同席も可能です。聴取後、多くの場合はその日のうちに処分が通知されますが、再度調査をして後日通知されるケースもあります。

意見を述べても免許取り消しとなった場合は、県の公安委員会に処分の審査請求をすることができます。それでも処分が変わらない場合は、裁判所に処分取り消しの訴訟を起こす必要があります。

免許の取り消し処分を争うには正確な法律知識が必要です。お困りの場合は、福岡県弁護士会法律相談センター=(0570)783552=に気軽に相談してください。

西日本新聞 9月9日分掲載(前田恭輔)

目次