「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2013年6月12日

離婚調停、顔を合わせなくても

▼Q 夫と離婚したいのですが、話し合いもできない状態で家庭裁判所に調停を申し立てました。夫と顔を合わせることにならないか心配です。

▼A 家裁に顔を合わせたくないという意向を説明すれば、そうした配慮の下で手続きを進めることができる場合が多いようです。

これまでの離婚調停は、相手と顔を合わせずに手続きが進められ、成立する最後の時だけ裁判官や調停委員と一緒に双方の当事者(夫婦)が同席するのが一般的でした。最近は多くの家裁で、1回目の冒頭に調停手続きについて説明する時や、各期日が終了する前に次回までの検討事項を確認する際にも同席を打診されるという運用に変わってきています。

もっとも、相手と顔を合わせると言いたいことが言えなくなるような場合、同席は難しいかもしれません。家裁にあなたの気持ちや事情をきちんと伝えることが大切です。伝える方法としては、電話のほか、家裁に提出する「進行に関する連絡表」(名称は裁判所ごとに異なる)に「裁判所に配慮を求めること」という記載欄があります。

きちんとした理由があれば、無理に同席を求められることはないでしょう。ちなみに福岡の場合(1)この連絡表に暴力を振るわれたなど顔を合わせたくない理由が記載されている(2)あなたや相手に精神的に不安定な状況がうかがわれる-場合、同席をしない運用をしています。

なお、あなたが同席を拒絶しても不利益に取り扱われることはありません。家裁にあなたの気持ちや意見をきちんと伝え、納得しながら手続きを進めることが大切です。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。

西日本新聞 6月12日分掲載(石本恵)

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