「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2023年11月22日

学校で差別受ける どうすれば

▼Q 在日朝鮮人であることを理由に、学校で、差別的なあだ名で呼ばれています。先生も力になってくれません。どこかに相談できないでしょうか

▼A 各地の弁護士会に人権救済の申し立てをしてみてはいかがでしょうか。費用はかかりません。申立書に、自分が受けた待遇や、求める救済内容などを可能な範囲で記入してください。

申し立てがなされると、弁護士会の人権擁護委員会が内容を確認した上で、調査を開始するか決定します。調査は、調査委員に選ばれた弁護士が行います。

調査はまず、事実確認をします。調査委員が学校に聞き取りに行ったり、資料の提出を求めたりします。そこで人権侵害にあたると確認できた場合、弁護士会は、警告、勧告、要望などの申し入れを学校側に行います。また、必要に応じてマスコミに発表をします。

最近の学校関係の例では、私立高校の教師が、生徒がテストで不正行為をしたことを実名でクラスメートに公表したことがありました。これに対し福岡県弁護士会は、プライバシー権の侵害に当たるとして、不正行為をした生徒の氏名を公表しないよう高校に要望をしています。

もっとも、あくまで任意の対応を求めるものであり、強制力はありません。したがって、調査や効果に限界があるのも事実です。

この点、諸外国には、より強い調査権限を有する「国内人権機関」があり、国連人権理事会から日本も創設を求められています。そこで、現在、日本弁護士連合会では、日本にもそうした機関を作る活動をしています

西日本新聞 11月22日分掲載(塩山乱)

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