「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2024年10月3日

悪質カスハラへの対応は?

▼Q スーパーの店長です。レシートのない返品を断ったら、その顧客がたびたび来店しては店員を罵倒し、返金しないと交流サイト(SNS)に書き込むと言います。どうしたらよいでしょうか。

▼A 典型的なカスタマーハラスメント(カスハラ)です。返品できないケースなら応じる必要はありません。カスハラを放置すると、従業員のモチベーションが低下します。店には従業員を保護する責任があり、その観点からも適切な対応が必要です。

重要なのは一貫した対応です。返品規定などの客観的な根拠を示し、冷静に説明しましょう。言い負かそうとしたり、感情的なやりとりはしないようにしましょう。状況を悪化させるだけです。

相手が納得しなくても、返品には応じないでください。納得されないなら仕方がないと考えて、対応を打ち切りましょう。暴言を続けたり、店舗に居座ったりするようであれば、警察に通報しましょう。

SNSでの書き込みは気になるところでしょうが、弱腰になると要求はエスカレートします。根拠のない個人の書き込みが経営に影響することはほとんどありません。法的に削除を求める方法もあります。気にしすぎず、返品できるかどうかという本来の論点の対応に集中してください。

対応策をマニュアル化し、従業員教育の一部とすることがカスハラには有効です。19日には福岡、北九州、久留米の各市役所で暴力被害集中相談が行われます。警察、暴追センター、弁護士による合同相談会です。詳しくは福岡県弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 10月3日分掲載(指山隼冶)

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