「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2015年4月22日

信義違反を訴え、返金も可能

▼Q ネットオークションで中古のたんすを購入しました。届いてみるとたんすの横に傷があり、使用に耐えないことが判明。オークションの商品説明では「中古につきノークレーム・ノーリターン(苦情、返品は受け付けません)」との記載が。返品してお金を返してもらうことはできないでしょうか。

▼A 本件のたんすの傷は物の「瑕疵(かし)」。買い主が注意を払っても分からない場合は瑕疵担保責任として解除することができます。一方、「ノークレーム・ノーリターン」表示は、この瑕疵担保責任を免除する特約といわれています。

特約自体は原則有効。ただ、物の瑕疵、今回のたんすの傷を出品者が知っており、これを十分に説明せずに落札されたような場合、信義に反するとして特約の効力が否定されることが考えられます。錯誤や詐欺が認められることもあります。取引の内容や傷の程度、商品説明の仕方によりますが、解除や無効、取り消しを主張し、代金返還を求めることが考えられます。

また、出品者が事業者の場合は瑕疵担保免除特約の「ノークレーム・ノーリターン」表示が消費者契約法上無効となることも考えられます。事業者かどうかの判断は具体的なケースを見る必要があります。時間の経過とともに解決が難しくなりますので、早期に消費生活センターや弁護士に相談することをお勧めします。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。

西日本新聞 4月22日分掲載(吉井和明)

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