「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年12月23日

店の家賃、円満に減額交渉したい

▼Q コロナ禍で経営する飲食店の業績が悪化しており、店舗家賃の減額について交渉したいと考えています。なるべく早く、穏便に解決できないでしょうか。

▼A 店舗を借りて飲食店などを営まれている事業者の場合、経費に占める家賃の比重は大きく、経営を圧迫することも多いと思われます。店舗の賃貸借契約には借地借家法が適用されますが、同法には、経済事情の変動により家賃が不相当となった時、減額を請求できるという規定があります。

直接、貸主に申し入れることも可能ですが、スムーズに交渉できないかもしれません。裁判所の調停や訴訟という方法もあります。ただ、一般的に時間がかかる上、紛争の色が濃くなります。

このような場合に適しているのが、第三者が仲裁に入る裁判外紛争解決手続き(ADR)で、福岡県や熊本県などの弁護士会でも対応しています。弁護士が仲介役となり、当事者双方の言い分を聞きながら、原則3回以内の話し合いでの解決を目指します。貸主の言い分も聞くので、お互いの事情を踏まえた円満解決に役立ちます。

申し立て手数料と成立手数料が必要ですが、コロナ関連の案件は申し立て手数料の免除などを行っています。申し立てをする際は、弁護士会の法律相談センターに連絡してください。このほか、日本弁護士連合会は、中小企業向けのひまわりほっとダイヤル=(0570)001240=で、事業者の家賃の問題に関する相談を受け付けています。借主、貸主、どちらの方も相談できます。初回相談は30分無料です。

西日本新聞 12月23日分掲載(椿良和)

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