「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2018年3月14日

財産分与、内縁解消でも請求できる?

▼Q 正式に結婚の届けは出していませんが、10年以上一緒に暮らし、夫婦同然の生活をしていた男性と別れることになりました。一緒に暮らし始めてから2人で貯金をしていたのですが、その名義は男性になっています。またこの相手は、相続で不動産を取得しています。私は財産分与を請求することができますか。

▼A 婚姻届を提出していなくても、お互い夫婦として一緒に暮らし、周囲からも夫婦と認識されている関係を内縁関係といいます。内縁関係は法律上の夫婦に準じて扱われますので、別れるときは財産分与を請求できます。この点が、単なる同居や同棲(どうせい)との大きな違いです。

具体的には、長期間一緒に生活している、住民票でも同一世帯になっている、住民票の続柄に「妻(未届)」と記載されている、扶養に入っている、結婚式を挙げた、冠婚葬祭などに夫婦として一緒に出席している-などの事情があれば、内縁関係と認められることになります。

相談者も、このような事情がいくつか当てはまれば、内縁関係として財産分与を請求できます。

ただし、財産分与の対象は、一緒に暮らす間に共同で築いた財産ですので、今回の場合、貯金は対象になりますが、不動産は対象になりません。なお分与は多くの場合、対象財産の2分の1です。

財産分与について当事者間で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。

西日本新聞 3月14日分掲載(糸瀬真理)

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