「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2021年2月17日

コロナ禍の債務、特別な手続き?

▼Q 個人で事業をしています。新型コロナウイルスの影響で業績が悪化し、債務整理を検討しています。コロナ禍の借り入れには特別な手続きがあると聞きました。詳しく教えてください。

▼A 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」という制度をご存じでしょうか。もともと東日本大震災を機にできた制度で、新たに新型コロナの影響で債務(住宅、事業、自動車ローンなど)の支払いが困難となった個人・個人事業主のための特則ができ、適用が始まりました。

同制度は(1)一定の財産を手元に残しつつローンなどを減免(2)「ブラックリスト」に載らない(3)保証人は原則、保証履行を求められない(4)弁護士など「登録支援専門家」による手続き支援を無料で受けられる―といったメリットがあります。

対象は、2020年2月1日以前に負担していた債務▽新型コロナ対応のため、20年2月2日~同10月30日に負担した債務。主に新型コロナの影響で、失業や収入が減少するなどし、債務の返済が困難になった個人・個人事業主が申し出ることができます(一定の要件あり)。

最も債務額が大きな債権者にこの制度を利用したい旨を伝え、「同意書」を発行してもらう必要があります。同意が得られたら、地域の弁護士会などに手続き支援を依頼します。この制度が利用できるかどうか気になられる場合は、弁護士会にお問い合わせください。福岡県弁護士会=092(741)6416。

西日本新聞 2月17日分掲載(塙愛恵)

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