「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2024年7月4日

中小企業こそ知財戦略を

▼Q 車載センサーの製造開発に特化した会社を経営しています。独自技術による正確な検知が強みですが、すぐに他社にまねされてしまいます。どうにかできないでしょうか。

▼A 特許で技術を守ることをお勧めします。

技術開発は競争の世界です。しかし、自由にまねできるとなると、努力して先に開発した人が報われません。特許はこれを守る仕組みです。特許があれば、他社はあなたの会社の許可なしにその技術を使うことはできません。無断で使用された場合、使用の差し止めや損害賠償を請求できます。

特許を取得し、どのように活用するかが会社の知財戦略です。特許以外に、不正競争防止法などもあります。ロゴマークを商標登録することや、取引相手とは秘密保持契約を結んで技術を盗まれないようにすることも大事な戦略です。

そして、知財戦略は大企業だけの問題ではありません。一つの製品が生命線の中小企業こそ活用すべきです。知財戦略は会社ごとに違います。地元の身近な企業の事例を見てみませんか。

福岡県弁護士会では、今月18日に講演会を開催します。テレビシリーズ「ドゲンジャーズ」などを展開する株式会社悪の秘密結社の笹井浩生さんが講師です。ヒーローショーの悪役専門という同社の知財戦略は、他の会社を巻き込んだキャラクター展開。そこには独自の知財ノウハウがあります。

聴講無料で、オンライン参加もできます。詳しくは、福岡県弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 7月4日分掲載(岡田佳那美)

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