「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2021年4月14日

隣地とのトラブル、裁判外の解決法も

▼Q 令和2年7月豪雨の後、隣地の崖が崩れそうな状態のままです。心配で対応を申し入れていますが、隣人もどうすればいいのか分からないようで話が進みません。良い方法はないでしょうか。

▼A あなたには、崖の擁壁補強など対策を求める権利があります。土地の所有権に基づく妨害予防請求権で、裁判で認められれば強制執行もできます。ただ隣人との関係を考えると、裁判は必ずしも得策ではありません。あなたも崩落の危険性や防止措置の必要性などを証明しなければならず、相応の調査費用や時間、労力が必要となります。

ご相談のケースは、互いに解決方法が分からないところが問題だと考えます。
このような時は福岡県弁護士会が運営する、裁判によらない紛争解決手続き(ADR)を検討してはいかがでしょう。当事者同士での解決が難しい場合、経験豊富な弁護士が第三者となって間に入り、言い分を聞き、話し合いによる紛争の早期解決を図ります。例えば弁護士から同種事案の解決事例を示してもらえば、それを参考に納得した上で円満に合意、解決できるかもしれません。

通常のADRは申し立て手数料がかかりますが、福岡県弁護士会は、令和2年7月豪雨などの災害について「災害ADR」を設置しており、申し立て手数料は無料です。解決時の成立手数料も通常の半額程度。原則3回以内の話し合いでの解決を目指しており、裁判や調停と比べ早期の解決が期待できます。建築士などの専門委員に関与してもらう制度もあります。まずは天神弁護士センター=092(741)3208=にご連絡ください。

西日本新聞 4月14日分掲載(岡部友和)

目次