「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2023年2月1日

養育費を増やしてほしい

▼Q 中3の娘が私立高校のスポーツ科に進学することになりました。元夫とは3年前に離婚しましたが、毎月5万円の養育費を受け取っています。入学後は授業料や遠征費で年間100万円ほどかかりそうです。元夫の勧めでスポーツ科にしたのですが、養育費も増額になるのでしょうか。

▼A 5万円の養育費を決めた際には想定していなかったが、元夫の勧めでスポーツ科に進学することになったのであれば、増額が認められる可能性は高いでしょう。

公立高校の学費は5万円の養育費に含まれていたと考えられますので、一般的な公立の学費との差額分(公立高校の学費が仮に25万円なら75万円)の負担が問題になります。就学支援金の対象となる場合はこれを織り込んで差額を計算します。その差額をあなたと元夫の可処分所得で案分するのが一つの考え方です。

このような考え方を参考にして、実際の養育費の額は、あなたと元夫で話し合って決めることになります。自分がスポーツ科を勧めた以上、元夫が学費を全部負担するというなら、それで合意して構いません。

逆に元夫が学費のことまで考えていなかった場合、増額の合意ができないこともあります。その時は、家庭裁判所への養育費増額の調停申し立てなどを考える必要があります。

養育費の最終目的は「子どものため」ですが、養育費の計算方法は各種あり、どの計算方法を取るかで争いになることもあります。福岡県弁護士会への法律相談は、ナビダイヤル=(0570)783552(なやみここに)=で予約してください。

西日本新聞 2月1日分掲載(井上瞳)

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