「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2022年6月8日

夫婦の財産、半分ずつが原則

▼Q 夫と離婚することになり、財産分与について話し合っています。夫は自分が正社員で、私がパートの収入しかなかったから、自分の取り分の方が大きくて当然だと言います。仕方ないのでしょうか。

▼A 夫婦が婚姻中に共同で築いた財産(夫婦共有財産)は金額に換算して半分ずつになるように分けるのが原則です。夫婦間で働き方に違いがあったとしても、夫婦の財産は夫婦が対等な立場で一緒に形成したものと考えるからです。夫婦の一方が専業主婦(主夫)であった場合も同様です。

ただし、夫婦共有財産に当たらないものは分与の対象から除外されます。例えば、婚姻の前からどちらか一方が所有していた財産や、婚姻中であっても一方が相続で得た財産などは「共有」とはなりません。

裁判例では、共有財産であっても半分ずつの分与割合にならなかった事案もあります。一方が特殊な技能による高額収入を得ており、その技能の獲得が婚姻前の当人の努力によるところが大きい場合や、片方がスポーツ選手で、その収入がその選手の一生涯を保障する面があるような事案などです。

ご相談の事例は離婚の際によく見られる主張です。ただし、この場合は夫の取り分が大きくなるような例外には該当しないと思われます。

6月23~29日、全国各地の弁護士会で「女性の権利ホットライン」という無料法律相談が行われます。電話のほか、地域によっては面談による相談もできます。詳しくは各弁護士会のホームページなどでご確認ください。

西日本新聞 6月8日分掲載(石田淳)

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