「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2017年1月25日

熊本地震でうつ病の友人、どう支える

▼Q 熊本在住の友人から、最近ストレスで重いうつ病になり、休職して療養中だが、今後の生活が心配だという相談を受けました。原因は、震災をきっかけとした借金や、ここ数カ月間仕事があまりに忙しかったことなどがあるようです。死にたくなるという言葉も出て心配です。私に何かできるでしょうか。

▼A 被災による心的外傷後ストレス障害(PTSD)が、震災から長期間を置いて現れることもありますし、原因はいろいろ考えられます。まずは自殺リスクから遠ざけるため、その方の話に判断や批評することなく耳を傾け(傾聴)、速やかに心理の専門家や弁護士などにつながるよう勧めてください。

友人があなたに正直な気持ちを打ち明けるのは、あなたを信頼してのことでしょうから、ぜひ友人を支える「ゲートキーパー」(主な役割は、気づき、傾聴し、つなぎ、見守ること)になることを意識してください。

友人の心労の原因が、主に借金問題であれば、弁護士に相談いただければ多くの場合解決できます。震災関連の特別な支援制度もあり、健康保険に加入していれば傷病手当金を受けられる可能性があります。一方、過労で精神的な病気を発症し休職に至った場合、労災として休業補償給付の対象となる可能性もあります。各県の弁護士会は、さまざまな法律相談(福岡県の自死問題支援者法律相談制度、熊本県の熊本地震無料法律相談など)を実施しています。詳しくは弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 1月25日分掲載(星野圭)

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