「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2018年3月28日

「無期転換ルール」って?

▼Q 私は今の会社に2013年4月1日に事務職として中途採用されました。雇用期間は1年間とされていますが、毎年契約が更新されており、4月で6年目になります。先日、会社から今回の契約更新はしないかもしれないと言われました。新聞で「無期転換ルール」という言葉を見たことがあるのですが、私の話とは関係しないのでしょうか。

▼A 労働契約法では、有期契約が通算5年を超えて反復更新している場合、従業員である有期契約社員に、会社に対し雇用期間の定めのない契約への転換を申し込む権利が発生するとされています。無期転換の申し込み権といいます。そしてこの権利が発生した契約期間中に転換の申し込みをした場合、会社は断ることはできません(無期転換ルール)。

あなたについては、次回の契約が更新された場合、無期転換ルールが適用され、18年4月から無期転換の申し込み権が発生しますので、4月以降に申し込んだ場合、期間の定めのない契約に転換されます。

これに対し、次回契約が更新されなかった場合には、雇用期間が通算5年を超えませんので、無期転換ルールの直接の適用はありませんが、「無期転換逃れ」が疑われる場合、会社の更新拒絶が正当なものであるかどうか、さまざまな要素から判断されることになります。雇い止めが無効となり、無期転換の申し込み権が行使できる可能性もあります。一度弁護士にご相談ください。

西日本新聞 3月28日分掲載(岡田一志)

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