「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2021年3月10日

災害に関する法制度を知りたい

▼Q 大きな自然災害が増えているように感じます。災害に関する法制度について教えてください。

▼A 日本の災害対策の基本となる法律が「災害対策基本法」です。1959(昭和34)年の伊勢湾台風などの教訓から制定されました。同法は、防災を国や自治体の責務としています。

実際に災害が発生した時は「災害救助法」が適用されます。46(昭和21)年の南海地震を契機に制定されました。被災者の救出、避難所の設置、炊き出し、仮設住宅の提供などは、この法律に基づいて行われています。同法の基本原則は、(1)平等(2)必要即応(3)現物給付(4)現在地救助(5)職権救助です。

このうち(4)現在地救助の原則によって、旅行に来ていた人も保護されます。(5)職権救助とは、申請を待たずに知事が職権で救助を実施することです。同法は最近だと、今年2月の福島県沖の地震や栃木県足利市の山火事のほか、新潟県糸魚川市の地滑りなどに適用されています。

復旧・復興の場面で適用されるのが「激甚災害法」。東日本大震災や九州北部豪雨などが激甚災害に指定されています。激甚災害に指定されると、復旧事業への国庫補助の上乗せといった援助が受けられます。

ほかにも「被災者生活再建支援法」「自然災害債務整理ガイドライン」などの制度があります。国や自治体のホームページで確認できます。難しいと思ったら、弁護士にご相談ください。

西日本新聞 3月10日分掲載(安河内涼介)

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