「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2024年8月29日

「同意」が多いのはなぜ?

▼Q 生活のいろいろな場面で「同意」を求められます。なぜ、こんなに「同意」が多いのですか。

▼A よくある「同意」の意味を説明します。

1、利用規約への同意

ネット上での商品購入も売買契約です。売買契約の中心は「何をいくらで買うか」。これは商品を選び、購入手続きを確定させることで決まります。

一方で、他にも決めておくべきことがあります。契約成立や返品の条件、トラブルの解決方法などです。これらは利用規約にまとめられていて、利用者は事前に「同意」します。つまり「何をいくらで買うか」という毎回変わる部分だけを利用者に選ばせ、どの利用者の、どの購入にも当てはまる部分には利用規約が適用される仕組みです。これにより、大量の契約を効率的に処理することができます。

2、個人情報についての同意

個人情報に関して多いのが第三者提供についての「同意」です。病院を退院してリハビリ施設に通う場合、病院と施設との間で情報を共有する必要があります。病院が持っている情報は患者が病院に渡したもので、病院が勝手に第三者に渡すことはできません。そこで、事前に患者から「同意」をもらうことにより、スムーズな情報共有が可能となります。

昔は、売買でトラブルが起きても常識で解決する、必要な情報だから第三者に渡しても問題ない、という考えでした。しかし、価値観が多様化した今日では、そうはいきません。あいまいだったことがきちんと処理されるようになった結果、「同意」が増えたと言えます。

西日本新聞 8月29日分掲載(角倉潔)

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