「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2021年10月6日

孫との面会を認めてもらいたい

▼Q 息子夫婦とけんかしてしまい、3歳の孫娘に会えなくなりました。どうしたらいいでしょうか。

▼A まずは、息子さん夫婦とよく話し合ってみましょう。けんかの原因はさておき、お孫さんを中心に考えると、おじいちゃん、おばあちゃんとの交流も大事なことですから、お孫さんの成長にとって何が大事かという観点から話し合うことをお勧めします。

しかし残念ながら、祖父母側から面会を強制することは、法律上できません。

今年3月、最高裁は、孫との面会などを求めた二つの事案について、「祖父母から審判を申し立てることはできない」との決定をしました。

この二つの事案は、祖父母が毎週のように孫に面会してきたケースと、祖母が孫の育児を赤ちゃんのころから手伝い、孫は親より祖母になついていた-などの事情があるケースです。どちらの事案も高裁では、祖父母も両親に準じるとして、審判の申し立てを認めていました。

最高裁も、祖父母による面会や世話の重要性や、そのための話し合いをすることは否定していません。しかし、現行法では父母以外の第三者が審判を申し立てる決まりがないため、裁判所でこれを決めることはできないと判断したものです。

最高裁の決定が出た以上、今後は祖父母から面会などの審判を申し立てること自体ができなくなります。一方で、家族のあり方は今後さらに多様化していくでしょう。その中で、子の利益を最優先に、事案に応じた解決を探っていく必要があります。

西日本新聞 10月6日分掲載(佐藤広)

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