「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2012年10月13日

暴力団事務所 裁判で使用禁止へ

▼Q 近所に暴力団の事務所ができたようです。最近は抗争事件も多く巻き添えに遭わないか心配です。対応策はありますか。

▼A 裁判を起こして事務所の使用禁止を求めることができます。自宅は本来、リラックスしたり、家族だんらんの場であったりするはずの場所。それなのに不安な思いをしなくてはならないというのは、おかしなことです。こうした状態を裁判では、人間として自由で幸せに暮らす権利が侵されていると捉え、原因である暴力団事務所を使用禁止にできるという理論が確立されています。

事務所が暴力団の所有物である場合も同じです。それが分譲マンション内の一室の場合には、区分所有法(通称・マンション法)に基づく競売の請求もできます。借りた物件の場合は賃貸借契約の解除による明け渡し請求ができるなど、状況に応じたさまざまな対応の仕方があります。

全国各地で住民や弁護士が結束して対応した結果、これまで数多くの成功例があります。

特に福岡県の場合、全国最多の五つの指定暴力団があり、傘下組織も含めると多数の組事務所が存在します。ごく普通の住宅地にあるものも少なくありません。そこで県弁護士会は、排除活動の進め方も含め、暴力団事務所問題で悩んでいるみなさんへのアドバイスも行っています。11月10日には県内4カ所で無料の暴力団被害集中相談を実施します(面談または電話)。気軽にどうぞ。

◇暴力団被害集中相談の問い合わせは=092(741)6416。

西日本新聞 10月13日分掲載(角倉潔)

※このイベントは終了しました

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