「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2021年9月22日

事業者はクーリングオフできない?

▼Q 在宅でホームページ制作の仕事を始めました。先日訪問してきた業者から勧められ、ビジネス用電話機のリース契約をしました。しかし、よく考えると、高額な上に電話機自体ほとんど使いません。クーリングオフを申し出たのですが、「事業者は法律上できない」と言われました。本当ですか?

▼A 突然の訪問販売を受けて契約に応じた場合には、判断を誤ることがあるため、特定商取引法は、一定期間、無条件で契約を解除するクーリングオフを認めています。これは一般消費者の保護を念頭に置いた規定で、事業者が仕事のために契約した場合には適用されません。

しかし、零細な個人事業主など、実態として一般消費者と変わらない立場で契約している事業者もいます。このような場合には、一般消費者同様に保護されるべきです。

消費者庁は、事業者名で契約をしているケースでも、「主として個人用・家庭用に使用するため」に契約した場合は、クーリングオフが認められるものとする通達を出しています。

2015年の東京地裁の判決では、喫茶店による電話機リース契約のクーリングオフが認められています。夫婦で営む自宅兼店舗の喫茶店で、営業のためには電話機をほとんど使っていなかったことから、自宅用であると判断されたものです。

訪問販売による被害に遭った場合は、気軽に弁護士に相談してください。福岡県弁護士会は県内18カ所に法律相談センターを設けています。詳しくは公式ホームページをご覧ください。

西日本新聞 9月22日分掲載(千綿俊一郎)

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