「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2019年11月20日

どんな行為がパワハラに?

▼Q 上司から理不尽と感じる言動を度々受けます。パワハラではないでしょうか。

▼A 厚生労働省はパワハラを「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為」と定義しています。

上司に限らず部下や同僚など、職場のさまざまな優位性を背景に行われるものも含まれ、多くは職場の地位を利用したいじめや嫌がらせです。明確に線引きできませんが、業種や、行為と業務の関係など具体的事情に照らして、適正範囲を超える行為が該当します。

(1)暴行・傷害(身体的な攻撃)(2)脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)(3)隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)(4)業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)(5)業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)(6)私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)-がパワハラの典型類型です。

よく問題になるのが、指導が行き過ぎる場合です。「人格がおかしい」「役立たず」などと、人格や能力不足をばかにするような発言は、従業員に大きな苦痛を与え、仕事をさせる上で必要とはいえず、パワハラに当たる可能性が高いです。大声で怒鳴ったり、みんなの前で長時間叱責(しっせき)したりする行為も、過度に従業員の心身に負担を与える場合は、パワハラと判断されるかもしれません。

西日本新聞 11月20日分掲載(西亜沙美)

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