「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2023年5月30日

障がい者への「合理的配慮」を

▼Q 私は足に障がいがあり、車椅子を使用しています。近くにすてきなカフェがあるのですが、入り口に段差があって、行くのを諦めています。店員さんに手伝いをお願いしてよいものでしょうか。

▼A 遠慮なくお願いできます。障がいの有無にかかわらず同じサービスを受けられるようにすることは、共生社会実現のために不可欠です。障害者差別解消法は、過度の負担にならない限り、平等な機会を与えるための対応(合理的配慮の提供)を事業者に求めています。あなたのお願いもこの「合理的配慮」を求めることにあたります。

これまで、事業者の合理的配慮の提供は努力義務とされてきましたが、2021年5月の法改正で法的義務に格上げされ、24年4月1日から施行されます。

ご相談のケースで考えられるその他の合理的配慮としては、店員が車椅子を担いでサポートする▽折り畳み式スロープを段差に架ける▽入り口を改修してスロープを設置する-などが考えられます。

また、飲食店で目が見えない方に点字メニューを提供する▽耳が聞こえない方が順番待ちをするときに振動する呼び出し機で順番が来たことを知らせる▽言葉での意思疎通が困難な方にイラストやひらがなのコミュニケーション支援ボードを示して意思疎通を図る-なども合理的配慮と捉えることができます。

福岡県弁護士会の高齢者・障害者総合支援センター(あいゆう)では無料電話相談=092(724)7709=を行っています。出張相談も可能です。詳しくは同会ホームページをご覧ください。

西日本新聞 5月30日分掲載(平田実穂子)

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