「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2017年4月5日

手術同意書にサイン 病院に責任問える?

▼Q 病気を患い、手術を検討していますが、病院から「手術同意書」へのサインを求められています。サインしても、もし手術が失敗したら病院の責任は問えるのでしょうか。

▼A 手術前には、医師から手術内容について説明を受けた後「同意書」にサインを求められるのが一般的です。同意書には、考えられる合併症が列記され、このような合併症が起こりうることの説明を受け、理解しました、などと書かれています。

まず前提として、手術の結果、かえって悪い結果が生じた(失敗した)場合でも、当然病院に責任があるということにはなりません。手術は病気を治すというメリットがある半面、体に傷を付ける行為でもあり、医師が十分に注意しても、一定の確率で悪い結果(合併症)が発生することがあります。その場合、病院の責任を問うことはできません。

医師には患者が自分の意思で適切に判断できるよう説明する義務があります。同意書は、説明をきちんと受け、メリット・デメリットを理解して手術を受けます、という患者の認識の表明ということになります。

したがって、避けられない合併症ではなく医師のミスのため悪い結果が生じたとか、説明されていない全く別の合併症が生じたといった場合は、同意書にサインしていても、病院の責任を問うことは可能です。

手術のメリット・デメリットをよく把握した上で、手術を受けるかどうかを自ら判断することが、なにより重要です。

西日本新聞 4月5日分掲載(石田光史)

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