「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2015年7月29日

賠償請求の証明責任免責も

▼Q 2カ月前に10万円で買った背広をクリーニングに出し、受け取りに行くと、背中の部分に穴が開いていました。お店に補償を求めたのですが応じてくれません。どうすれば・・・。

▼A 原則、補償を請求する側が、穴の原因がクリーニング店にあることや損害金を証明する必要があります。ただ、このような証明は困難です。LDマーク(都道府県クリーニング生活衛生同業組合の加盟店)やSマーク(都道府県生活衛生営業指導センターによる登録店)を掲示する店では品物を受け取ってから6カ月、クリーニング店に品物を預けてから1年を経過しないうちなら「クリーニング事故賠償基準」が適用されます。

基準が適用されると、クリーニング店が背広にできた穴の原因が店以外の者の過失に基づくことを証明しない限り、店は補償に応じなければなりません。補償額は原則、背広の再取得価格(同一品質の新規の品物を事故発生時に購入するのに必要な金額)に基づき、購入時からの経過月数に応じた補償割合で算出されます。

ご相談のケースでは、特別の事情がない限り、購入代金10万円の補償が受けられることになります。この基準を示してもクリーニング店が補償に応じてくれない場合には、専門家による交渉や訴訟が必要になることがありますので、消費生活センターや弁護士に相談をしてください。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)

西日本新聞 7月29日分掲載(中村匠吾)

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