「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2021年7月28日

スマホの無断充電は「窃盗」?

▼Q 私の勤務先は、私物のスマートフォンやタブレット端末などの充電を禁止しています。同僚は上司の目を盗んで充電していますが、問題ないのでしょうか。

▼A 同僚は会社のルールに違反しているだけだと思っているのでしょうが、窃盗罪になる可能性があります。窃盗とは「他人の財物を窃取」することです(刑法235条)。そして、形のない電気も「財物とみなす」とされています(同245条)。つまり電気を無断で使うのは、人の物を盗むのと同じことになります。

勤務先が充電を認めている場合は、勤務先が「電気をあげる」と言っているわけですから、問題ありません。しかし、決まりがない場合は他人の物になるため、確認が必要でしょう。ご相談のケースは、はっきり充電禁止となっています。特に許されない限り、充電は控えるべきです。

実際には、被害額が少額で刑事事件にならないことも多いと思われます。ただ、最近もコンビニエンスストアの敷地内で、店のコンセントに調理機器をつないで使い、逮捕された事案がありました。過去には、アパートの共用コンセントに家電をつないで使用し、数円相当の電気を盗んだとして執行猶予付きの懲役刑を言い渡された事例もあります。たかが電気と軽く見るべきではありません。

スマホなどをちょっと充電したいといった場面は少なくないと思います。しかし、窃盗罪になることがあると考えると、無断充電は控えた方がよいでしょう。

西日本新聞 7月28日分掲載(諌山佳恵)

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