「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2020年10月21日

「強制起訴」とは何ですか

▼Q あおり運転を巡る名誉毀損(きそん)事件について、小倉検察審査会が起訴すべきと議決し、「強制起訴」になったとのニュースを見ました。強制起訴とは何ですか。

▼A 検察官が有罪判決を求めて裁判所に訴えることを「起訴処分」といいます。もっとも検察官は、有罪になる確証が得られない場合や、判決を求めるまでの重大性がない場合などは起訴しません。これを「不起訴処分」といいます。これらの処分のうち、不起訴処分の妥当性を審査するのが検察審査会です。事件の被害者らは不起訴処分に不服があれば、検察審査会の審査を求めることができます。

検察審査会を構成するのは、国民からランダムに選ばれた11人の検察審査員 です。自ら事件の記録を読むなどして議決を行います。検察審査会が「この事件は起訴すべき」と考えれば「起訴相当」の議決をします。この議決を受けると、検察官は起訴するかどうかを再検討しなくてはなりません。

あらためて検討した上で、検察官は再び不起訴処分とすることができます。この2回目の不起訴処分は検察審査会の審査を必ず受けることになっています。2回目の不起訴処分に対しても「やはり起訴にすべき」と考えた場合、検察審査会は「起訴議決」をします。

起訴議決がなされると、裁判所は、弁護士の中から、本来の検察官に代わってその役割を果たす「指定弁護士」を指定します。「指定弁護士」は、起訴議決に従って起訴をしなくてはなりません。これを一般的に「強制起訴」と呼んでいます。

西日本新聞 10月21日分掲載(柴尾知宏)

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