「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2020年7月15日

あおられたら、110番して車内待機

▼Q 先日、車の運転中に車線変更したところ、後ろの車から車間距離を詰められ、追い越されて急ブレーキをかけられるなど怖い目に遭いました。悪質な運転をする車をどうにかしてほしいです。

▼A あおり運転はこれまで、事故でけが人が出たり、暴力行為があったりしない限り、なかなか取り締まってもらえませんでした。しかし死傷事故が多発し社会問題化しているのを受けて、あおり運転を「妨害運転」と規定して厳罰化した改正道交法が6月30日に施行されました。

他の車の通行を妨害する目的で、交通の危険の恐れがある方法で違反(急ブレーキ、車間距離不保持、急な車線変更など10類型)をした場合は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」。さらにその結果、高速道路で相手の車を停止させるなど著しい危険を生じさせた場合は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科されることになりました。刑事罰だけでなく「違反1回で即免許取り消し」の行政処分もあります。

ですから今後は、ご相談のようなケースも取り締まりやすくなります。被害に遭ったら、まず安全な場所に車を止め110番してください。その際、車外に出ると暴行などトラブルの元なので、車内で待機するほうがよいでしょう。

一方で、後方からのあおりは、道を譲ることで解消することも多々あります。自身の身を守るためにも、早めに道を譲るのは一つの手です。また万一の場合に証拠を残すため、ドライブレコーダーを前後ともに設置することも大切です。

西日本新聞 7月15日分掲載(一坊寺麻希)

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