「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2017年8月30日

水害の被害認定、変更してもらえる?

▼Q 7月の九州豪雨で家が壊れ、罹災(りさい)証明書が発行されました。全壊ではなく一部損壊との認定で、納得できません。

▼A 被害認定が実際の損壊程度と一致していないと考える場合、さらに調査を求めることができます。

被害認定は、市町村の調査により行われます。第1次調査は、建物の外観の損傷状況などを目視で把握します。対象は一戸建て(1、2階建て)で、水流やがれきの衝突などの被害がある建物に限定されます。

第1次調査の認定に納得がいかないときや、調査対象に含まれていない建物の場合、第2次調査を申請できます。床や内壁など内部も調べる、より詳しい調査です。その認定にも納得できないときは再調査を申請できます。

被害認定は、市町村の職員が、人命救助など、より優先度の高い事務に追われている中で行われるので、建物の状況把握が不十分なこともあります。第2次調査、再調査については遠慮せず申請してみましょう。調査で重点的に見てもらうべき点や、どのような状態なら被害認定が変更される可能性があるのかは、弁護士などの専門家にご相談ください。

再調査でも納得がいかないときは、被害認定そのものを法的な手続きで争うことは難しいですが、被害認定に基づいて支援金が支給された場合、支給額に誤りがあるとして争うことも考えられます。大事なのは1人で悩まないことです。

西日本新聞 8月30日分掲載(山田裕二)

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