「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2024年2月21日

マイナ保険証を作るべきか

▼Q 現行の保険証が廃止されると聞きました。マイナ保険証を作る必要があるでしょうか。

▼A 政府は昨年12月、現行の健康保険証を今年12月に廃止すると閣議決定しました。廃止後は、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証の利用を原則とする方針です。しかし、日弁連や医師の団体はこの廃止に反対しています。

マイナ保険証では、過去のレセプト(診療報酬明細書)などのデータベースとのひも付けが自動で行われます。このデータベースには、診療履歴情報が3年分保存されています。医療機関の窓口でこの情報を医師らが見ることに同意しないこともできます。しかし、うっかり同意すると、例えば風邪で受診したのに、感染症、精神疾患、遺伝病などの知られたくない過去の病気のことが分かってしまいます。

このような情報は受診には必要ありません。本人確認と、どの健康保険に加入しているのか、保険証が有効か無効かなどの確認がなされれば十分なはずです。

さらに顔写真の問題があります。医療機関の窓口では、マイナンバーカードの顔写真を基に、顔認証システムによる本人確認をします。このデータを国や自治体が利用し、市民監視につながる恐れもあります。

マイナ保険証を作らなくても、健康保険証の資格証明書が発行され、これで医療機関を受診できます。

福岡県弁護士会では、3月20日午後2時から福岡市中央区の福岡県弁護士会館で、シンポジウム「マイナ保険証と人権を考える」を開催します。ビデオ会議アプリ「Zoom」でも視聴できます。是非ご参加ください。

西日本新聞 2月21日分掲載(武藤糾明)

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