福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2022年7月号 月報

あさかぜ基金だより 入所ご挨拶

月報記事

会員 藤田 大輝(74期)

きみは誰?

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所に入所しました、弁護士の藤田大輝(ふじただいき)です。

私は、山口県下関市豊北町に生まれ、大学進学(福岡大学)を機に、福岡に来ました。福岡大学では、体育部会応援指導部応援団に所属し、第57代団長を務めました。私が、長く休部状態だった応援団を復活させたときのニュース映像があります。YouTubeで「福岡大学応援団 藤田大輝」と検索してみてください。当時は、そこそこモテたのです(今は...?)。

その後、福岡大学法科大学院に進学・修了し、令和2年の司法試験(会場は南近代ビル)に合格しました。修習地も福岡でした。振り返ると、18歳で福岡に来てから、ちょうど10年が経過しました。

あさかぜ"基金"ってなに?

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所は、司法過疎地域(人口あたりの弁護士の数が少ない地域)に赴任する弁護士を養成するため、九州弁護士会連合会が創設した"基金"から拠出された資金で設立されました。所員弁護士は、最長3年間の養成期間を経て、原則として九州の司法過疎地域に赴任します。

「過疎地域に行きたい」なんて、変わり者かな...?

私の出身地は、電車が2時間に1本、小学校の同級生は12人という、とんでもなく過疎の地域です。猿も雉もフツーにそのへんを歩いています(犬は飼っています)。もちろん、車で45分以内の場所に法律事務所なんてありません。そのため、出身地域の人々はリーガルサービスと疎遠だと常日頃感じていました。助けを求めたいのに、その声を押し殺している人がいる。その人に、声を上げる勇気を与えるためには、身近な弁護士が必要だと考えました。

私は将来、弁護士過疎地で独立開業したいと考えています。これを実現するには、多種多様な事案に対応でき、かつ過疎地域の実情を肌で感じる経験が必要です。そんな私にとって、早いうちから多種多様な事案に触れることができ、かつ過疎地域事務所への赴任が予定されているあさかぜ基金法律事務所は、理想的環境です。

弁護士やっていけそう?

私は、本年4月21日(一斉登録日)から、弁護士の仕事をはじめました。私には社会人経験もありませんから、分からないことばかりの毎日です。しかし、一方で、新しい知識・経験を得ることに喜びを感じる毎日でもあります。

これから、諸先輩弁護士の先生方、対面する依頼者の方々から多くのことを学び、研鑽を積んでいくつもりです。やる気一杯の私です。なにとぞよろしくご指導いただきますようお願いします。

福岡県弁護士会 あさかぜ基金だより 入所ご挨拶

福岡大学 体育部会 応援指導部応援団 現役時

福岡県弁護士会 あさかぜ基金だより 入所ご挨拶

私の地元 下関市豊北町某所 実家周辺の風景

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子どもの権利について考えるシンポジウム「地方から広げよう!子どもにやさしいまちづくり」のご報告

月報記事

子どもの権利委員会(人権小委員会)委員 鶴崎 陽三(69期)

1 はじめに

去る令和4年5月14日(土)、福岡県弁護士会館及びzoomにて、福岡県弁護士会主催・日弁連及び九弁連共催で、子どもの権利委員会企画のシンポジウム「地方から広げよう!子どもにやさしいまちづくり」が開催されました。

私も子どもの権利委員会の委員として研修に参加いたしましたので、代表してご報告いたします。

2 シンポジウム開催の背景

日本が子どもの権利条約(以下、単に「条約」といいます。)に批准してからはや27年が経ちますが、依然として子どもの権利条約が国内に浸透しているとは言い難く、子どもの権利に関する基本法も制定されないままの状況が続いていました(なお、本シンポジウム後の6月15日にこども家庭庁設置法とこども基本法が成立しています。)。

昨年9月に日弁連が「子どもの権利基本法の制定を求める提言」を公表し、その中で基本法の制定、子ども施策の総合調整機関の設置、子どもの権利を保障する独立した監視機関(以下、「権利救済機関」といいます。)の設置を求めましたが、それを受けて作成された法案は、権利救済機関の設置を定めていないなど提言内容と比較すると十分なものとは言えませんでした(6月に実際に成立した基本法にも権利救済機関の設置は定められていません。)。

他方で、地方自治体の中には、子どもの権利に関する条例を制定し、日弁連が提言の中で求めているような監視機関を設置している自治体もあり、福岡では、志免町が平成19年に県内で初めて子どもの権利条例を制定しており、権利救済機関の活動実績も積み重ねられています。

子どもの権利を守るためのこのような地方の活動を、国全体の施策レベルまで広めていかなければならないとの思いから、本シンポジウム「地方から広げよう!子どもにやさしいまちづくり」を開催する運びとなりました。

3 シンポジウムの内容
(1) 基調講演

本シンポジウムの基調講演として、子どもの権利条約総合研究所運営委員の平野裕二氏から、子ども基本法や子どもの権利救済機関をめぐる国際的な動向を中心にご講演いただきました。

条約では、子どもの「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」を4つの柱として、「保護の客体」という子ども観から「権利行使の主体」という子ども観へと転換されており、一般原則として、差別の禁止、子どもの最善の利益、生命・生存・発達に対する権利、子どもの意見の尊重が定められています。

すでに子どもの権利に関する基本法が制定されているウェールズ、スコットランドなどの立法例や、それらの国の子どもの権利救済機関の取り組みなどが平野氏から紹介されましたが、その一方で、日本は2004年、2010年、2019年の3回にわたり国連から条約の遵守を確保すべく国内法の整備等をすることが勧告されています。

ようやく基本法が成立したばかりの日本を子どもの権利が十分に保障された社会にするためには、今後の積み重ねが不可欠であると痛感します。

(2) 弁護士会からの報告

弁護士会からの報告として、日弁連子どもの権利委員会人権救済小委員会委員長の栁優香弁護士より、日弁連が求める子どもの権利基本法と子どもの権利救済機関についてご報告いただきました。

子どもの権利条約や子どもの権利保障が社会に浸透しているとは言い難い現状を変えるためには、基本法を制定して子どもの権利を国民に広く浸透させる必要があります。

また、条約や憲法が裁判規範として直接適用されることがほとんどない実情を踏まえると、より身近な「法律」という形にすることが重要です。

そして、原則や理念等を規定した基本法が制定されることで、個別法の指針となります。

この点、6月にこども基本法が成立したこと自体は素晴らしいことですが、日弁連が提言で求めていた内容とはまだまだ乖離があります。

今後、よりよい法律にしていくためには、私たち弁護士の率先した取り組みが重要になるであろうと感じました。

(3) 子どもたちからの報告

今回のシンポジウムに先立ち、小学生から高校生までの子どもたち向けに、子どもの権利について学習してもらう機会を設けました。

そして、本シンポジウムでは、その参加者の中から、現在高校に通っている女子生徒2名に子どもの権利について発表してもらいました。

子どもたちにとって、成長の過程で子どもの権利を教わる機会はあまりないようで、今回の学習は、自分たちを取り巻くルールなどについて改めて考えるいいきっかけになったようです。

発表者の1人は、校則に定められた厳しい髪型のルールにとくに疑問を抱いたようで、校則の作成にも生徒たち自身の考えを反映させるようにしていくべきだとの思いを発表してくれました。

その生徒のその日の髪型は誰が見ても至って健全と思えるような髪形で、学校生活になんらかの支障が生じるようにはとても思えませんでしたが、その髪型には、結び目が高い、前髪が眉にかかっている、サイドが長くなっているという3つの校則違反があるそうです。

このような子どもたちの現状を踏まえた発表は参加者の心にも響いたようで、シンポジウム後のアンケート結果を見ると、子どもたちの発表に対する参加者の満足度の高さが窺えました。

私にとっても、子どもを取り巻く現状と子どもたちの率直な考えを知るいい機会になりました。

(4) パネルディスカッション
  • 臨床心理士で志免町子どもの権利救済委員を務められている調優子氏、特別支援学校の講師をされている吉川貴子氏、福岡子どもにやさしいまち・子どもの権利研究会の小坂昌司弁護士(福岡県弁護士会)によるリレートークのあと、平野氏を加えてパネルディスカッションを行いました。
  • 先ほどご紹介したとおり、調氏が救済委員を務められている志免町は福岡県で最初に子どもの権利条例を制定した自治体です。
    志免町の権利救済機関では、知らない人には相談したくないであろう子どもの心理を踏まえ、相談とは関係なく普段から子どもと話をすることで信頼関係を構築しているそうです。
    また、学校との関係でも、問題が起こったときに初めて学校と対峙すると敵対視されることから、普段から関係性を持つようにしているとのことでした。
    そして、自治体内の機関と異なり権利救済機関は第三者機関として自治体からの権利侵害に対する救済活動もできることなど、子どもたちの権利を守る機関としての役割を具体的な経験を交えながらご説明いただき、権利救済機関の設置が重要であることをより明確に認識することができました。
  • 吉川氏は、昨年12月に糸島市議会に子どもの権利条例をつくるように請願する取り組みに携われており、その後、請願が通って糸島市では子どもの権利条例の制定に向けた動きが進んでいます。
    吉川氏が請願を行うに至ったのは、制服を着たくないという中学生を応援する取り組みに関わっていたことがきっかけとのことでしたが、吉川氏の経験談を聞くことで、市民からの働きかけによっても条例が制定され得るということを具体的にイメージすることができました。
  • 小坂弁護士からは、ユニセフ(国連児童基金)が提唱する「子どもにやさしいまちづくり」活動を福岡で広めるために設立された「福岡子どもにやさしいまち・子どもの権利研究会」の活動などをご紹介いただきました。
    また、小坂弁護士は宗像市で8年間権利救済機関の委員をされた経験があることから、子どもがいつでも相談できる独立の機関があることの意義や、権利救済機関が子どもの権利を守るための方策を実現していくためには国にも意見を言える独立の機関であることが必要であることなどをお話しいただきました。
    弁護士として働きながら弁護士業務以外でも様々な場で子どもの権利救済に携わられている小坂弁護士のお話は、今後より深く子どもの権利に関わる仕事をしていきたいと考えている私にとっては非常に興味深く、参考になる内容でした。
  • パネルディカッションでは、各パネリストから子どもの権利を取り巻く国の現状や、具体的な経験をもとにしたご意見を伺うことができ、今後、国レベルで子どもにやさしいまちを創っていくための道筋を示していただけたと感じますし、今後の課題を検討していくための材料にもなりました。
4 最後に

私が中学生だった頃、男子生徒は坊主頭でなければならないという校則が廃止されたり、教師から生徒への体罰に対して世間の目が明らかに厳しくなったり、子どもへの制約が少しずつ緩和されていくのを感じていました。

それから30年足らずが経過する中で自分自身も弁護士になり、子どもも大人と同様に権利行使の主体であるという子ども観は自分の中では当たり前になっています。

しかし、今回のシンポジウムを通じて、実際には子どもの権利が社会にはまだまだ浸透していないことを痛感し、そのことに私は少なからず驚きを感じました。

今後、子どもの権利を守るための条例や個別法が制定されたり、それに基づく施策が講じられたりする中で、社会の子ども観が変わり、子どもにやさしいまちが日本中に広がっていくことを祈念しつつ、私からの報告を終了いたします。

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2022年6月号 月報

手錠・腰縄PT 2021年度活動報告

月報記事

手錠・腰縄問題に関するPT 田上 雅之(69期)

1 はじめに

2020年10月、日弁連手錠・腰縄PT座長(田中俊弁護士)を講師にお招きした学習会を開催した後、当会の人権擁護委員会及び刑事弁護等委員会が共同で準備を進め、2021年8月、当会の手錠・腰縄PTが設置されました。当PTでは、勾留中の被疑者・被告人の個人の尊厳・人格権を保障すべく、刑事公判廷における入退廷の際、手錠・腰縄姿を傍聴人や訴訟関係人の目に晒さないように弁護人から裁判所に求めていくという運動を行っております。

2021年9月までは日弁連PTの雛形を当会MLで紹介して当会での申入活動をお願いしておりましたが、2021年10月からは当PTにおいて、当会独自の申入書雛形・申入結果報告書を作成し、当会HPに掲載するとともに、国選弁護人選任時の法テラスからのFAXにも案内文書を添付し始めました。

この度、会員の皆様から2022年3月末日までにご報告いただいた申入結果報告書を集約し、分析しておりますので、この場でご報告させていただきます。

2 申入件数・措置件数

(1) 日弁連雛形を用いてご報告のあった申入件数は合計6件で(2021年2月~9月)、そのうち、裁判所によって何らかの対応(措置)がなされたものが2件でした。

当PT独自の申入結果報告書作成後の2021年10月から2022年3月までの6か月間(2021年度下半期)にご報告のあった申入件数は15件で、そのうち、裁判官によって何らかの対応(措置)がとられたものが合計3件でした。

当PTの活動開始前6件から開始後15件に申入件数が倍増しており、申入活動が活性化している状況です。このうち2件は起訴前(勾留理由開示期日)における申入れであり、被疑者段階での活動としても行われています。

(2) 申入先は福岡地裁(支部を含む)16件、高裁5件であり、申入件数21件のうち会員の期別の内訳は、20期代が2件、41期から50期までが3件、51期から60期までが2件、61期から70期までが10件、71期から73期までが4件となっており、ベテランから若手まで幅広く申入活動に協力して頂いています。

3 対応(措置)が行われた事例(5件)の概要

(1) 実際に対応(措置)が行われた事例5件のうち、「傍聴人がいない法廷で解錠・施錠」が行われたものが3件、「裁判官が予定時刻より早く入廷し傍聴人の入廷前に法廷での解錠・施錠」が行われたものが1件、その他の対応として「裁判官から傍聴人の有無について確認」されたものが1件でした。

(2) 実際に対応(措置)が行われた事例の罪名は、暴行、覚醒剤取締法違反(自己使用)、恐喝未遂、大麻取締法違反(共同所持)、大麻取締法違反となっています。

(3) 「傍聴人がいない法廷で解錠・施錠」が行われた事案や裁判官自ら弁護人に傍聴人の有無を確認する連絡があることから、傍聴人に手錠腰縄姿を晒さないようにする申入れへの意義が裁判官にも理解されつつあることが窺えます。

4 終わりに

2022年度も弁護人から裁判所に対する積極的な手錠腰縄に関する申入れを行っていただき、是非当PTまで申入結果報告のご提出をお願い致します。今年度からは、Googleフォーム(URL https://forms.gle/KBpgnLbEytyeC4mi7)によるご報告も可能となりましたので、報告しやすい方法で随時ご報告ください。

運動の趣旨・目的、実際の活動例については、当会月報599号(2021年12月号)37頁から39頁において、当PT富永悠太委員が詳細に報告しておりますので、本記事と合わせて是非ご参照ください。今後も当PTの運動に皆様のご協力を賜りますようお願い致します。

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2022年5月号 月報

あさかぜ基金だより

月報記事

あさかぜ基金法律事務所 所員 佐古井 啓太(72期)

こんにちは

あさかぜ基金法律事務所の佐古井です。あさかぜに入所して、はや2年が過ぎました。入所当時はこんなに長く福岡にいないと思っていたのですが、あっという間に過ぎる時間にびっくりしています。私の入所当時は6人いた弁護士も、うち4人は既に司法過疎地へと旅立ちました。あさかぜの養成期間は、上限が3年と決まっていますので、私もいよいよ赴任先を真剣に検討しないといけない頃合いです。

あさかぜでは、年に数回、赴任先となる事務所を研修として訪問していますが、今回は、あさかぜから旅立った1人である西原宗佑弁護士が所長をつとめる壱岐ひまわり基金法律事務所を訪問しましたので、その時のことを報告したいと思います。

壱岐ひまわり基金法律事務所

壱岐ひまわり基金法律事務所は長崎県壱岐市にある公設事務所です。壱岐市は人口2万5000人の市で、壱岐島全体で一市を構成しています。壱岐市一市を管轄する長崎地家裁壱岐支部が置かれており、裁判所や市役所のある郷ノ浦は、壱岐島の南西に位置する港町です。郷ノ浦が壱岐の中心部となっていて、壱岐ひまわり基金法律事務所もここにあります。

壱岐島は玄界灘に浮かぶ島であり、福岡市の北西70キロメートルに位置しています。福岡市の博多ふ頭から高速船ジェットフォイルで1時間程度で結ばれていて、長崎県ではありますが、福岡県とも結びつきの深い島です。隣の対馬とは「壱岐・対馬」とセットにされることが多いのですが、壱岐は円形の平らな島で、車で2時間もあれば一周できる比較的小さな島です。対馬は細長く地形も山がちで、端から端まで車で2時間以上かかる大きな島ですから、なんとも対照的です。

離婚事件の多い島

壱岐には、博多ふ頭からジェットフォイルに乗って行きました。船というと遅くて時間のかかるイメージでしたが、ジェットフォイルは、「海を飛ぶ」と形容されるとおりとても速く、時速80キロメートル近くも出るそうです。外海を通るので、時期によっては揺れがすさまじく、船酔いが大変だと聞いていましたから、非常に心配していましたが、この日は海も穏やかで、眠っている間にいつの間にか郷ノ浦港に着いていました。

郷ノ浦港に着いてから、西原弁護士に島を一周案内してもらいました。まずは猿岩。海に突き出た岩が、猿の顔に見えるから猿岩とのことです。海風が吹き付けて少し寒かったのですが、時間が朝であり、晴れていたのでなんともいい気持ちでした。そのあと月讀神社に行ったら、なんとここは神道発祥の地とのことで、こんなところで発祥したのかと驚きました。神社自体は、森の中の傾斜のきつい石段を上った先に小さな社がある、なんの変哲もない神社でしたが、なんとなく厳かな雰囲気のある空間でした。その後も何か所か観光地を周って、最後に原の辻遺跡に行きました。復元された高床式倉庫が建っていたので弥生時代の遺跡なのでしょうが、あたり一面が広大な平野になっていて、いかにも稲作に適した土地だろうなと思いました。聞くと、この辺りは長崎県下第2位の平野だそうで、まさか離島にそんな広い平野があると知ってびっくりしました。遺跡から見える山の上には、博物館があり、ここも大変面白いところだそうですが、この日は時間がなく次回までお預けとなりました。

壱岐をぐるりと周ったあとは、事務所を訪問し、西原弁護士から壱岐での弁護士活動について話を聞きました。壱岐は、福岡市に近いことの影響からか、とにかく離婚事件が多いとのことで、常時何件もかかえているそうです。島には2つしか事務所がないので、いろいろな種類の事件が来るようでしたが、裁判官が月に2回しか壱岐支部に来ないので、期日が集中して入ることになり、準備書面の作成が大変だとの話も出ました。なにより、小さな島なので、「利益相反」が頻繁に生じるということでした。島を移動すると、そこら中に関係者がいるので、心が休まらないという話も聞かされました。なるほど島ならではの問題だなと実感しました。

壱岐は、法テラスの法律事務所が先にできたこともあり、法律事務所といえば法テラスという土地だそうです。そんな中、ひまわりの先代所長弁護士が苦労して築き上げた信用を引き継いでやっていくのは、責任のともなう仕事でもあると思いました。

福岡県弁護士会 あさかぜ基金だより
いよいよ司法過疎地へ!

あさかぜで2年間弁護士をやってきましたが、1人で司法過疎地へ赴任するとなるとまだまだ不安です。それでも、今回、壱岐を訪問して、数多くの事件を抱えながらも、順調に事件を解決している先輩弁護士の頼もしい姿を見て、勇気づけられもしました。私も、いよいよ間近に迫った赴任に向けて、より一層研鑽に励んでいきますので、これまでにも増してのご指導ご援助をお願いします。

また、最後に宣伝ですが、現在、YouTubeの日弁連公式チャンネルにおいて、日弁連ひまわり基金20周年動画として「ここに弁護士がいてよかった(離島・長崎壱岐編)」(https://www.youtube.com/watch?v=C34O71Tvj04)が公開されています。あさかぜから壱岐に赴任した古賀祥多弁護士と西原宗佑弁護士の2人がひまわり基金法律事務所の意義について語っているのでぜひご覧ください。

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「ジュニアロースクール2022春in福岡」開催!

月報記事

法教育委員会 委員 吉住 守雅(73期)

1 はじめに

令和4年3月30日(水)、「ジュニアロースクール2022春in福岡」が開催されました。昨年に引き続き、今年のJLSもオンラインでの開催となり、弁護士は会館からZoomで参加し、生徒の皆さんにはご自宅などからZoomでご参加いただきました。

2 今回のテーマ
  1. 2022年4月から、新高等学校学習指導要領等が実施され、高校での新たな必履修科目として「公共」の授業が始まります。そこでは、資料から情報を正確に読み取って現代の課題を捉え考察し、課題解決に向けた自分の考えを整理して議論する力を身に付けること等が目標とされています。
    そこで、今回のJLSでは、新学期開始より一足先にこれらの力を磨くべく、「労働問題(正規雇用・非正規雇用)を考える」をテーマに、問題解決に向けた議論とその思考を体験してもらうこととしました。
  2. 具体的な内容としては、正規雇用・非正規雇用に関する統計データやそれを基にしたグラフの資料を生徒さんに配布した上で、その資料からどのような問題を読み取れるか、また、その原因や解決策は何が考えられるかを議論してもらうといったものになります。
3 当日の様子
福岡県弁護士会 「ジュニアロースクール2022春in福岡」開催!

伊藤会長による開会の御挨拶

  1. 当日は、急遽不参加となってしまった生徒さんもいましたが、総勢16名の生徒さんにご参加いただきました。また、教員の方1名にも見学という形でご参加いただきました。
  2. 今回のJLSは全体として大きく2つの部に別れており、それぞれの部の冒頭で、弁護士による寸劇が行われました。
    寸劇は、八木先生が弁護士役、見越先生と稲吉先生が高校生役となって、生徒さんと同じ資料を読みながら議論するという設定で行われました。生徒さんにどのように議論するかのイメージを掴んでもらうことを目的としています。
  3. 第1部は、
    1. 配布された資料を各自で読み込んで、正規雇用・非正規雇用に関する問題点を見つける。
    2. 4名ずつのグループに分かれて、資料から読み取った問題点をそれぞれ発表する。
    3. 全体会議で、各グループの意見を発表する。
      という流れで進行しました。
  4. 第2部は、
    1. 再びグループに分かれて、第1部で議論した問題点のうち1つに絞り、その原因と解決策を議論する。
    2. 全体会議で、各グループでの議論の結果を発表する。
    3. 全体会議で、各グループが発表した解決策に対して、その解決策を講じることによって生じうる更なる問題点の指摘とその対策を議論する。
      という流れで進行しました。
  5. グループワークでは、1グループにつき3名ほどの弁護士が担当となり、議論の進行や記録を行いました。
    私が担当したグループでは、進行担当の横山先生や八木先生が話を振ると、どの生徒さんも自分の考えを的確に説明してくれました。労働問題は生徒さんにとってイメージしづらいかと思いましたが、資料を基にして様々な角度からの意見が挙がり、充実した議論になりました。
    時には、生徒さんがグラフの出典である統計データ(URLを資料に記載)にまで遡って検討した意見に、我々が追いつけなくなる場面もあり、その熱意に驚かされるとともに次回以降への反省ともなりました。
    弁護士は、会館2階の大ホールのほか、複数の会議室に分かれてグループワークに参加していたため、他のグループの議論の様子は分かりませんでしたが、全体会議での発表内容からして、どのグループも充実した議論になっていたことが想像できました。
  6. 閉会後には、改めて各グループに分かれ、生徒さんに感想を聞いてみたり、逆に生徒さんから弁護士に対して質問したりするフリートークの時間が設けられました。弁護士になったきっかけや司法試験の話など、様々な質問が飛び交い、グループワークでの議論と同じかそれ以上の盛り上がりを見せていたように思います。
福岡県弁護士会 「ジュニアロースクール2022春in福岡」開催!

壇上で寸劇をする先生方

4 終わりに
  1. 2回目のオンライン開催となった今年も、坂本キャップをはじめとして司会の佐渡先生やZoom担当の田上先生など、運営の先生方による入念な準備・円滑な進行のおかげで、大成功に終わることができたと実感しています。
    生徒さんへのアンケートでも、とても面白かったとの意見を多数頂くことができ、微力ながらお手伝いさせていただいた身として非常に嬉しく思います。
  2. 今後の開催については、リモートだと発言しづらかったり、声が聞き取りづらかったりするとの意見もあり、対面での開催を希望する意見が多く寄せられました。また、PCやネット回線等の問題からか、途中で回線が途切れてしまったり、画面の向きが安定しなかったりした生徒さんもいました。
    その一方で、オンラインの方が話しやすいという意見もあり、オンラインだからこそ参加できるという遠方の生徒さんもいらっしゃいました。
    今後は、対面とZoom併用でのハイブリッド方式なども検討されるかと思いますが、いずれにせよ、対面での参加も可能なJLSが開催できるように、1日でも早くコロナが収束する日が来ることを願ってやみません。
  3. 最後になりますが、当日は読売新聞の記者の方が取材に来ており、弁護士や生徒さんへ取材されていました。具体的な掲載日は未定とのことですが、掲載された際は、ぜひご一読ください。
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