「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2023年4月19日

家族が逮捕されたら

▼Q 今朝、夫が通行人を殴ったとして逮捕されました。知人からは、なるべく早く被害者と示談をした方がよいと言われています。どうすればよいのでしょうか。

▼A 示談は早期の釈放のために有効です。ご相談のような暴行罪や傷害罪のケースでは被害者の意向が重視されますので、示談は重要です。

まずは本人の言い分を聞く必要がありますが、逮捕段階では家族の面会はできません。国選弁護人が選任されるのも、逮捕から数日後に身柄が勾留に切り替わってからです。

そこで、弁護士会に当番弁護士を要請してください。当番弁護士であれば逮捕段階でも面会でき、黙秘権、取調べの対応の仕方、今後の見通しなどを本人に助言できます。その上で、被害者とのトラブルの原因など、示談に役立ちそうな情報を聞き取れます。1回目の出動は無料で、家族が要請することもできます。

本格的な弁護活動が必要な場合は、今後のことを当番弁護士に依頼できます。依頼を受けた当番弁護士は正式な刑事弁護人となり、被害者への連絡、示談交渉を行います。示談できそうな場合は検察官に連絡して、勾留に進むのを防ぎます。なお、妥当な示談金額や、示談書の内容についても相談できます。

お金がない場合は「刑事被疑者弁護援助」を利用できます。弁護士会が運営している制度です。目安として、現金などの流動資産が50万円以下であれば無料で利用できます。

当番弁護士制度は各地の弁護士会にあります。お住まいの地域の弁護士会に電話してみてください。

西日本新聞 4月19日分掲載(岡崎翔太)

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