「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2023年6月28日

離婚の弁護士費用が不安

▼Q 夫との関係が悪化し、3歳の子どもを連れ実家で暮らしています。弁護士に頼んで夫と離婚協議をしたいのですが、パート収入しかありません。費用が心配です。

▼A 法テラスの「民事法律扶助制度」が利用できないか検討しましょう。この制度は、法テラスが弁護士費用などを立て替える制度です。立て替えられた費用は分割払いで法テラスに返還します。弁護士費用の基準も、一般より割安です。

もっとも、誰でも利用できるわけではありません。弁護士費用に困っている人のための制度ですから、利用者の収入や資産が法テラスの資力基準以下でないと利用できません。

資力は基本的に世帯単位で判断されます。しかし、あなたの場合、夫と別居していて離婚協議をしようとしているわけですから、法テラスの審査の上では夫の収入や資産は除いて判断されます。医療費、教育費などのやむを得ない支出も除くことができます。一方、ご両親からの金銭援助がある場合などでは、これが収入と判断されることもあります。

妻が夫の扶養の範囲内で働いている場合、離婚という局面になり、家計が別になると、妻が金銭的には弱い立場に立たされます。そのせいで、親権や慰謝料など、本来主張すべき権利を十分に主張できないまま離婚してしまう例も少なくありません。この制度は、そんな金銭面の不利益を軽減し、きちんと権利主張することを後押しする制度です。

資力審査があり、そのための書類も提出しないといけないのが多少面倒ですが、弁護士は、離婚はもちろん、法テラスの利用方法や書類の書き方もアドバイスします。

西日本新聞 6月28日分掲載(松本拓馬)

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