「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2016年8月17日

行政への不服申立制度 見直し

▼Q 生活保護の申請をしたら却下されました。通知書には理由として「稼働能力の不活用による」とだけ記載されていますが、納得できません。この決定に不服を申し立てることは可能でしょうか。

▼A 可能です。生活保護申請却下決定に不服があるときは、決定を知った日の翌日から3カ月以内に都道府県知事に対して審査請求ができます。

生活保護申請への決定通知には処分理由を記載する必要があり、申請者が記載から、どんな事実関係に基づき、どんな法規が適用されたかを理解できなければなりません。ご相談の記載内容だけでは判断経緯が理解できないため、却下決定は取り消される可能性があります。取り消された場合、あらためて判断されることになります。

生活保護に限らず、年金、介護、税金関係など、私たちの周りでは日常的に多様な行政処分が行われていますが、行政処分に対する不服申立制度はあまり利用されていませんでした。しかし、使いやすさ向上などの観点から約50年ぶりに制度が抜本的に見直され、不服申立期間が延長されるなど、利用しやすくなりました(4月1日以降の処分に対する不服申し立てから新制度が適用されています)。

福岡県弁護士会は月1回、行政に関する無料相談を実施しており、次回は9月10日午前11時~午後3時。電話相談=092(724)2644▽面接相談は電話予約=092(741)6416=が必要。お気軽に相談ください。

西日本新聞 8月17日分掲載(佐藤雄介)

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