「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2018年10月24日

たたいてでも分からせる?

▼Q 小学生の子どもが外出先で他人に迷惑を掛けて、注意してもなかなかやめません。親としてしつけなければいけないと思うのですが、言葉で諭しても聞かない場合は、たたいてでも分からせるべきでしょうか。

▼A 民法の規定で、親は子どもを監護する立場にあると定められています。従って、子どもが他人に迷惑を及ぼすような行為をする場合は、それをやめるよう指導をしなければいけません。しかし、しつけは正しい方法で行う必要があります。体罰で子どもをしつけることは正しい方法でしょうか。

さまざまな研究によると「体罰はしつけの方法として効果的ではない」とされています。確かに痛みを与えれば、一時的に子どもの行動は収まるかもしれません。しかし、体罰で子どもをコントロールしても、子どもに自律性は生まれません。むしろ子どもは慣れていくので、ますます激しい体罰をしなければならなくなります。そうなると、子どもはやがて自分の痛みの感覚をまひさせ、結果的に他人の痛みも理解できなくなり、大きな問題行動に発展する恐れがあると言われています。

児童虐待防止法は、子どもに暴力を振るうことは「児童虐待」に当たると定めています。さらに親権の行使、すなわち、しつけ目的であっても、その行為が暴行や傷害に該当する場合は、責任を免れないと規定しています。

しつけの仕方に迷ったときは、市町村の子育て支援の担当課や児童相談所などに相談をしてください。

西日本新聞 10月24日分掲載(小坂昌司)

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